ぬか床に卵の殻はNG?

ぬか床に卵の殻はNG?

ぬか床に卵の殻を入れるのは、おすすめしません。

 

卵の殻は、ぬか床の酸味を和らげます。
これは、乳酸菌の生成する乳酸によって低くなりすぎたぬか床のpHが卵の殻の炭酸カルシウムによって中和されるためです。

 

即効性があります。

 

しかし、おすすめはしません。
確かに卵の殻を入れると酸味は和らぎますが、(pHのコントロールが難しくなりますので)ちょっとした加減の違いによりぬか床のpHが塩基性(アルカリ性)に傾いてしまうリスクがあります。

 

雑菌(腐敗菌)の多くは弱アルカリ性を好みますので、ぬか床が腐りやすくなるということです。

 

卵の殻を加えるメリットとは?

卵の殻は、ぬか床の酸味を和らげます。
多くの書籍には「ぬか漬け(ぬか床)が酸っぱくなったら卵の殻を加えましょう」と書かれていますし、実際に加えている人は少なくありません。

 

これは、理にかなったテクニックです。

 

ぬか床は、乳酸により酸っぱくなります。
本来、ぬか床のpHは4.3前後ですが、乳酸菌の活動が活発になると必要以上に酸性化してしまって「酸っぱいぬか床」になります。

 

そこで、pHを下げるために卵の殻(炭酸カルシウム)が用いられます。

 

炭酸カルシウムはpHを上げます。
これは園芸において酸性土壌に石灰を加えるのと同様の理由からであり、炭酸カルシウムを加えることで瞬時に強い酸性を和らげることができます。

 

事実、酸味が和らぐのを感じられます。

 

卵の殻をおすすめしない理由は?

卵の殻を加えるのはおすすめしません。

 

ぬか床が腐りやすくなります。
本来、ぬか床は塩分と酸性pHで腐敗を防いでいますが、卵の殻を加えてpHを調節するのはコントロールが難しいためにやりすぎてしまう可能性があります。

 

pHが上がりすぎてしまえば腐敗菌が増えます。

 

卵の殻は、諸刃の剣です。
確かに、卵の殻を加えれば「ぬか床の酸味が和らぎます」が、同時に雑菌に対しての防御力を失ってしまうことにもなります。

 

また、サルモネラ菌のリスクもあります。

 

個人的には、デメリットが大きいように思います。
卵の殻は「ぬか床の酸味をやわらげるテクニック」として古くから用いられてきましたが、直接的な方法でなくても酸味は和らげることができます。

 

市販のぬか床には卵の殻が混ぜ込まれているものもありますので、常温管理でぬか床を管理しようと考えている場合には注意してください。

 

卵の殻以外で酸味を和らげるには?

ぬか床の酸味は、足しぬかによって緩和されます。

 

ぬか床は、乳酸菌によって酸っぱくなります。
ぬか床には大きく乳酸菌と産膜酵母が生育しており、乳酸菌には「糖を消費して乳酸を生成する」という働き、産膜酵母には「酸を消費してアルコールを生成する」という働きがあります。

 

ぬか床が酸っぱくなるのは、乳酸菌の働きが活発になるためです。

 

微生物には、空気を好むものと好まないものがあります。
たとえば、乳酸を生成する乳酸菌は「嫌気性(通性嫌気性)」であり、アルコールや二酸化炭素を生成する産膜酵母は「好気性」となります。

 

ちなみに、嫌な臭いの酪酸を生成する酪酸菌は「嫌気性(偏性嫌気性)」です。

 

乳酸菌 通性嫌気性(酸素が苦手だが利用もできる)
酪酸菌 偏性嫌気性(酸素で死滅する)
産膜酵母 好気性

 

酸味を和らげるには、乳酸菌を減らして産膜酵母を増やします。

 

足しぬかをすることがポイントです。
ぬか床には三相(固相、液相、気相)があり、足しぬかをすることにより固相と気相の割合が増えて水分量(液相)の割合が減ります。

 

気相が増えれば、「乳酸菌が減って産膜酵母が増える」ことになります。

 

固相 米ぬか
液相 水分
気相 空気(酸素)

 

ぬか床は、鉢植え植物に似ています。
そもそも、三相(固相、液相、気相)という考え方は園芸における土の状態を表す表現方法であり、微生物を育てるという点において共通点が多いのです。

 

ぬか床の微生物をバランスよく育てるためには、三層のバランスを考慮する必要があります。

 

足しぬかでなければいけません。
水分量を減らす方法には「足しぬか」と「水抜き」がありますが、水抜きは「野菜の香り成分やうま味成分まで捨ててしまうことになります」のでおすすめしません。

 

ぬか床は、徐々に増えていくのが正解です。
「野菜を漬け続けることで水分量が増える」→「足しぬかにより水分量を調節する」→「徐々にぬか床が増えていく」といった仕組みです。

 

あまりにも足しぬかをしないぬか床は、粘りが出て再生(改善)不可能になる可能性がありますので注意してください。

 

ぬか床に卵の殻を加えるのはおすすめしません。卵の殻を入れればぬか床の酸味は改善されますが、同時にpHのコントロールが難しくなり腐りやすいぬか床になってしまうリスクがあります。安全に酸味を和らげるためには「足しぬか」をおすすめします。足しぬかをすることでぬか床の水分量を減らすことができ、乳酸菌よりも産膜酵母が優位になることでぬか床内の乳酸を減らすことができます。

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